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[解] 이해하다/일본어

桃太郎[모모타로] 이야기 - 芥川龍之介[아쿠타가와 류노스케]와 楠山正雄[쿠스야마 마사오] 각색본 검토

by 천매 2021. 8. 21.

최근에 애니메이션 『피치 보이 리버사이드』를 보고있는데, 상당히 재미있다. 

 

 

다만 내가 나고 자란 것이 일본 문화권이 아닌지라 작품의 핵심 근간으로 등장하는 【모모타로 이야기】를 알지 못해서 중간중간 스토리의 이해에 어려움을 겪었는데, 그런고로 이번에 글을 조금 찾아보기로 하였다. 

 

https://www.dh-jac.net/db1/books/search.php?lang=ja

가장 최초로 수록된 원문 버전이 무엇일지 찾아보던 중, 일본 문헌 열람 시스템에서 아주 옛 서적들을 찾아볼 수 있는데, 너무 구불구불해서 난 못읽겠다. 

 

그래서 적당히 쓰인 20세기 초의 두가지 이본을 들고왔다. 

 

모두 저작권이 만료된 옛 글들을 모아놓은 사이트 青空에서 가져온 것인데, 편집할 수 없는 ruby로 온통 후리가나를 달아놓아서 그것들은 내가 일일이 확인하며 민트색으로 칠해놓았다. 

 


1. 아쿠타가와 류노스케 (1924)

 원래 텍스트와는 조금 멀어진 것으로, 당시 사회에 군국주의를 기리는 수단으로 모모타로를 쓰던 것에 대한 비판의식을 엿볼 수 있다. 아쿠타가와는 인간이 두려워하던 요괴의 입장에서 인간 사회의 모습을 바라보는 글을 자주 썼는데, 그 속에서 어쩌면 요괴들보다 더한 인간들의 모습을 조명한다. 

피치보이 리버사이드에서 기술된 오니와 인간 사이의 관계에도 아마도 이 글이 영향을 크게 주었을 것으로 생각된다. 작중에서 묘사되는 미코토의 모습과 주인공의 맛간 모습이 조금은 겹쳐보인다. 

桃太郎、芥川龍之介

 


 むかし、むかし、大むかし、ある深い山の奥に大きい桃ももの木が一本あった。大きいとだけではいい足りないかも知れない。この桃の枝は雲の上にひろがり、この桃の根は大地だいちの底の黄泉よみの国にさえ及んでいた。何でも天地開闢かいびゃくの頃ころおい、伊弉諾いざなぎの尊みことは黄最津平阪よもつひらさかに八やっつの雷いかずちを却しりぞけるため、桃の実みを礫つぶてに打ったという、――その神代かみよの桃の実はこの木の枝になっていたのである。
 この木は世界の夜明以来、一万年に一度花を開き、一万年に一度実をつけていた。花は真紅しんくの衣蓋きぬがさに黄金おうごんの流蘇ふさを垂らしたようである。実は――実もまた大きいのはいうを待たない。が、それよりも不思議なのはその実は核さねのあるところに美しい赤児あかごを一人ずつ、おのずから孕はらんでいたことである。
 むかし、むかし、大むかし、この木は山谷やまたにを掩おおった枝に、累々るいるいと実を綴つづったまま、静かに日の光りに浴していた。一万年に一度結んだ実は一千年の間は地へ落ちない。しかしある寂しい朝、運命は一羽の八咫鴉やたがらすになり、さっとその枝へおろして来た。と思うともう赤みのさした、小さい実を一つ啄ついばみ落した。実は雲霧くもきりの立ち昇のぼる中に遥はるか下の谷川へ落ちた。谷川は勿論もちろん峯々の間に白い水煙みずけぶりをなびかせながら、人間のいる国へ流れていたのである。
 この赤児あかごを孕はらんだ実は深い山の奥を離れた後のち、どういう人の手に拾われたか?――それはいまさら話すまでもあるまい。谷川の末にはお婆ばあさんが一人、日本中にほんじゅうの子供の知っている通り、柴刈しばかりに行ったお爺じいさんの着物か何かを洗っていたのである。……


 桃から生れた桃太郎ももたろうは鬼おにが島しまの征伐せいばつを思い立った。思い立った訣わけはなぜかというと、彼はお爺さんやお婆さんのように、山だの川だの畑だのへ仕事に出るのがいやだったせいである。その話を聞いた老人夫婦は内心この腕白わんぱくものに愛想あいそをつかしていた時だったから、一刻も早く追い出したさに旗はたとか太刀たちとか陣羽織じんばおりとか、出陣の支度したくに入用にゅうようのものは云うなり次第に持たせることにした。のみならず途中の兵糧ひょうろうには、これも桃太郎の註文ちゅうもん通り、黍団子きびだんごさえこしらえてやったのである。
 桃太郎は意気揚々ようようと鬼が島征伐の途とに上のぼった。すると大きい野良犬のらいぬが一匹、饑うえた眼を光らせながら、こう桃太郎へ声をかけた。
「桃太郎さん。桃太郎さん。お腰に下げたのは何でございます?」
「これは日本一にっぽんいちの黍団子だ。」
 桃太郎は得意そうに返事をした。勿論実際は日本一かどうか、そんなことは彼にも怪あやしかったのである。けれども犬は黍団子と聞くと、たちまち彼の側へ歩み寄った。
「一つ下さい。お伴ともしましょう。」
 桃太郎は咄嗟とっさに算盤そろばんを取った。
「一つはやられぬ。半分やろう。」
 犬はしばらく強情ごうじょうに、「一つ下さい」を繰り返した。しかし桃太郎は何といっても「半分やろう」を撤回てっかいしない。こうなればあらゆる商売のように、所詮しょせん持たぬものは持ったものの意志に服従するばかりである。犬もとうとう嘆息たんそくしながら、黍団子を半分貰う代りに、桃太郎の伴ともをすることになった。
 桃太郎はその後のち犬のほかにも、やはり黍団子の半分を餌食えじきに、猿さるや雉きじを家来けらいにした。しかし彼等は残念ながら、あまり仲なかの好い間がらではない。丈夫な牙きばを持った犬は意気地いくじのない猿を莫迦ばかにする。黍団子の勘定かんじょうに素早すばやい猿はもっともらしい雉を莫迦にする。地震学などにも通じた雉は頭の鈍にぶい犬を莫迦にする。――こういういがみ合いを続けていたから、桃太郎は彼等を家来にした後も、一通り骨の折れることではなかった。
 その上猿は腹が張ると、たちまち不服を唱となえ出した。どうも黍団子の半分くらいでは、鬼が島征伐の伴をするのも考え物だといい出したのである。すると犬は吠えたけりながら、いきなり猿を噛み殺そうとした。もし雉がとめなかったとすれば、猿は蟹かにの仇打あだうちを待たず、この時もう死んでいたかも知れない。しかし雉は犬をなだめながら猿に主従の道徳を教え、桃太郎の命に従えと云った。それでも猿は路ばたの木の上に犬の襲撃を避けた後だったから、容易に雉の言葉を聞き入れなかった。その猿をとうとう得心とくしんさせたのは確かに桃太郎の手腕である。桃太郎は猿を見上げたまま、日の丸の扇おうぎを使い使いわざと冷かにいい放した。
「よしよし、では伴をするな。その代り鬼が島を征伐しても宝物たからものは一つも分けてやらないぞ。」
 欲の深い猿は円まるい眼めをした。
「宝物? へええ、鬼が島には宝物があるのですか?」
「あるどころではない。何でも好きなものの振り出せる打出うちでの小槌こづちという宝物さえある。」
「ではその打出の小槌から、幾つもまた打出の小槌を振り出せば、一度に何でも手にはいる訣わけですね。それは耳よりな話です。どうかわたしもつれて行って下さい。」
 桃太郎はもう一度彼等を伴に、鬼が島征伐の途みちを急いだ。

ㅋㅋㅋㅋㅋㅋㅋㅋ 원숭이쉑 신박하네

 


 鬼が島は絶海の孤島だった。が、世間の思っているように岩山ばかりだった訣わけではない。実は椰子やしの聳そびえたり、極楽鳥ごくらくちょうの囀さえずったりする、美しい天然てんねんの楽土らくどだった。こういう楽土に生せいを享けた鬼は勿論平和を愛していた。いや、鬼というものは元来我々人間よりも享楽きょうらく的に出来上った種族らしい。瘤こぶ取りの話に出て来る鬼は一晩中踊りを踊っている。一寸法師いっすんぼうしの話に出てくる鬼も一身の危険を顧みず、物詣ものもうでの姫君に見とれていたらしい。なるほど大江山おおえやまの酒顛童子しゅてんどうじや羅生門らしょうもんの茨木童子いばらぎどうじは稀代きだいの悪人のように思われている。しかし茨木童子などは我々の銀座を愛するように朱雀大路すざくおおじを愛する余り、時々そっと羅生門へ姿を露あらわしたのではないであろうか? 酒顛童子も大江山の岩屋いわやに酒ばかり飲んでいたのは確かである。その女人にょにんを奪って行ったというのは――真偽しんぎはしばらく問わないにもしろ、女人自身のいう所に過ぎない。女人自身のいう所をことごとく真実と認めるのは、――わたしはこの二十年来、こういう疑問を抱いている。あの頼光らいこうや四天王してんのうはいずれも多少気違いじみた女性崇拝家すうはいかではなかったであろうか?
 鬼は熱帯的風景の中うちに琴ことを弾いたり踊りを踊ったり、古代の詩人の詩を歌ったり、頗すこぶる安穏あんのんに暮らしていた。そのまた鬼の妻や娘も機はたを織ったり、酒を醸かもしたり、蘭らんの花束を拵こしらえたり、我々人間の妻や娘と少しも変らずに暮らしていた。殊にもう髪の白い、牙きばの脱けた鬼の母はいつも孫の守もりをしながら、我々人間の恐ろしさを話して聞かせなどしていたものである。――
「お前たちも悪戯いたずらをすると、人間の島へやってしまうよ。人間の島へやられた鬼はあの昔の酒顛童子のように、きっと殺されてしまうのだからね。え、人間というものかい? 人間というものは角つのの生えない、生白なまじろい顔や手足をした、何ともいわれず気味の悪いものだよ。おまけにまた人間の女と来た日には、その生白い顔や手足へ一面に鉛なまりの粉をなすっているのだよ。それだけならばまだ好いのだがね。男でも女でも同じように、噓うそはいうし、欲は深いし、焼餅やきもちは焼くし、己惚うぬぼれは強いし、仲間同志殺し合うし、火はつけるし、泥棒どろぼうはするし、手のつけようのない毛だものなのだよ……」


 桃太郎はこういう罪のない鬼に建国以来の恐ろしさを与えた。鬼は金棒かなぼうを忘れたなり、「人間が来たぞ」と叫びながら、亭々ていていと聳そびえた椰子やしの間を右往左往うおうざおうに逃げ惑まどった。
「進め! 進め! 鬼という鬼は見つけ次第、一匹も残らず殺してしまえ!」
 桃太郎は桃の旗はたを片手に、日の丸の扇を打ち振り打ち振り、犬猿雉いぬさるきじの三匹に号令した。犬猿雉の三匹は仲の好い家来けらいではなかったかも知れない。が、饑えた動物ほど、忠勇無双むそうの兵卒の資格を具えているものはないはずである。彼等は皆あらしのように、逃げまわる鬼を追いまわした。犬はただ一噛ひとかみに鬼の若者を噛み殺した。雉も鋭い嘴くちばしに鬼の子供を突き殺した。猿も――猿は我々人間と親類同志の間がらだけに、鬼の娘を絞殺しめころす前に、必ず凌辱りょうじょくを恣ほしいままにした。……
 あらゆる罪悪の行われた後のち、とうとう鬼の酋長しゅうちょうは、命をとりとめた数人の鬼と、桃太郎の前に降参こうさんした。桃太郎の得意は思うべしである。鬼が島はもう昨日きのうのように、極楽鳥ごくらくちょうの囀さえずる楽土ではない。椰子やしの林は至るところに鬼の死骸しがいを撒き散らしている。桃太郎はやはり旗を片手に、三匹の家来けらいを従えたまま、平蜘蛛ひらぐものようになった鬼の酋長へ厳おごそかにこういい渡した。
「では格別の憐愍れんびんにより、貴様きさまたちの命は赦ゆるしてやる。その代りに鬼が島の宝物たからものは一つも残らず献上けんじょうするのだぞ。」
「はい、献上致します。」
「なおそのほかに貴様の子供を人質ひとじちのためにさし出すのだぞ。」
「それも承知致しました。」
 鬼の酋長はもう一度額ひたいを土へすりつけた後、恐る恐る桃太郎へ質問した。
「わたくしどもはあなた様に何か無礼ぶれいでも致したため、御征伐ごせいばつを受けたことと存じて居ります。しかし実はわたくしを始め、鬼が島の鬼はあなた様にどういう無礼を致したのやら、とんと合点がてんが参りませぬ。ついてはその無礼の次第をお明あかし下さる訣わけには参りますまいか?」
 桃太郎は悠然ゆうぜんと頷うなずいた。
「日本一にっぽんいちの桃太郎は犬猿雉の三匹の忠義者を召し抱かかえた故、鬼が島へ征伐に来たのだ。」
「ではそのお三さんかたをお召し抱えなすったのはどういう訣わけでございますか?」
「それはもとより鬼が島を征伐したいと志した故、黍団子きびだんごをやっても召し抱えたのだ。――どうだ? これでもまだわからないといえば、貴様たちも皆殺してしまうぞ。」
 鬼の酋長は驚いたように、三尺ほど後うしろへ飛び下さがると、いよいよまた丁寧ていねいにお時儀じぎをした。


 日本一の桃太郎は犬猿雉の三匹と、人質に取った鬼の子供に宝物の車を引かせながら、得々とくとくと故郷へ凱旋がいせんした。――これだけはもう日本中にほんじゅうの子供のとうに知っている話である。しかし桃太郎は必ずしも幸福に一生を送った訣わけではない。鬼の子供は一人前いちにんまえになると番人の雉を噛かみ殺した上、たちまち鬼が島へ逐電ちくでんした。のみならず鬼が島に生き残った鬼は時々海を渡って来ては、桃太郎の屋形やかたへ火をつけたり、桃太郎の寝首ねくびをかこうとした。何でも猿の殺されたのは人違いだったらしいという噂うわさである。桃太郎はこういう重かさね重がさねの不幸に嘆息たんそくを洩もらさずにはいられなかった。
「どうも鬼というものの執念しゅうねんの深いのには困ったものだ。」
「やっと命を助けて頂いた御主人の大恩だいおんさえ忘れるとは怪しからぬ奴等でございます。」
 犬も桃太郎の渋面じゅうめんを見ると、口惜くやしそうにいつも唸うなったものである。
 その間も寂しい鬼が島の磯いそには、美しい熱帯の月明つきあかりを浴びた鬼の若者が五六人、鬼が島の独立を計画するため、椰子やしの実に爆弾を仕こんでいた。優やさしい鬼の娘たちに恋をすることさえ忘れたのか、黙々と、しかし嬉しそうに茶碗ちゃわんほどの目の玉を赫かがやかせながら。……


 人間の知らない山の奥に雲霧くもきりを破った桃の木は今日こんにちもなお昔のように、累々るいるいと無数の実をつけている。勿論桃太郎を孕はらんでいた実だけはとうに谷川を流れ去ってしまった。しかし未来の天才はまだそれらの実の中に何人とも知らず眠っている。あの大きい八咫鴉やたがらすは今度はいつこの木の梢こずえへもう一度姿を露あらわすであろう? ああ、未来の天才はまだそれらの実の中に何人とも知らず眠っている。……

(大正十三年六月)

 

 

다 읽어보니 아무리 봐도 鬼ヶ島는 일본 제국주의가 확장되던 시절 우리나라와 같은 식민 치하에 있던 나라들을 그린 것만 같다. 대의 없는 비어있는 목적으로 이리저리 날뛰어대던 당시 국제사회 열강들에 대한 강한 비판의식을 느낀다. 

 

작가는 이야기를 마무리하며, 마지막에 '아직도 복숭아 열매 속에는 미래의 천재들이 잠들어 있다'고 말한다. 이 반어적으로 기술된 '천재'는, 나는 오늘날 사회에서의 시민 독재를 이루려는 방구석 파시스트들이라고 생각한다. 그들이 바로 저 복숭아에서 나온 잔재들이 아닐까. 

 


2. 쿠스야마 마사오

원본으로 여겨진다. 1950년에 떠난 작가인데, 출판된 최초 기록은 1980년대이다.

정확히 언제 쓰였는지는 모르지만, 이 사람이 구성한 것을 후대 사람들이 건져서 실은 것으로 보인다. 

 

이 글은 동화로, 요미가나는 하찮은 것에만 달려있었기 때문에 모두 삭제한다. 

 

桃太郎、楠山正雄

 


 むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがありました。まいにち、おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
 ある日、おばあさんが、川のそばで、せっせと洗濯をしていますと、川上から、大きな桃が一つ、

「ドンブラコッコ、スッコッコ。
ドンブラコッコ、スッコッコ。」

 と流れて来ました。
「おやおや、これはみごとな桃だこと。おじいさんへのおみやげに、どれどれ、うちへ持って帰りましょう。」
 おばあさんは、そう言いながら、腰をかがめて桃を取ろうとしましたが、遠くって手がとどきません。おばあさんはそこで、

「あっちの水は、かあらいぞ。
こっちの水は、ああまいぞ。
かあらい水は、よけて来い。
ああまい水に、よって来い。

 と歌いながら、手をたたきました。すると桃はまた、

「ドンブラコッコ、スッコッコ。
ドンブラコッコ、スッコッコ。」

 といいながら、おばあさんの前へ流れて来ました。おばあさんはにこにこしながら、
「早くおじいさんと二人で分けて食べましょう。」
 と言って、桃をひろい上あげて、洗濯物といっしょにたらいの中に入れて、えっちら、おっちら、かかえておうちへ帰りました。
 夕方になってやっと、おじいさんは山からしばを背負って帰って来きました。
「おばあさん、今帰ったよ。」
「おや、おじいさん、おかいんなさい。待っていましたよ。さあ、早くお上んなさい。いいものを上げますから。」
「それはありがたいな。何だね、そのいいものというのは。」
 こういいながら、おじいさんはわらじをぬいで、上に上りました。その間に、おばあさんは戸棚の中からさっきの桃を重そうにかかえて来て、
「ほら、ごらんなさいこの桃を。」
 と言いいました。
「ほほう、これはこれは。どこからこんなみごとな桃を買って来た。」
「いいえ、買って来たのではありません。今日川で拾って来たのですよ。」
「え、なに、川で拾って来きた。それはいよいよめずらしい。」
 こうおじいさんは言いながら、桃を両手にのせて、ためつ、すがめつ、ながめていますと、だしぬけに、桃はぽんと中から二つに割れて、
「おぎゃあ、おぎゃあ。」
 と勇ましいうぶ声こえを上あげながら、かわいらしい赤さんが元気よくとび出しました。
「おやおや、まあ。」
 おじいさんも、おばあさんも、びっくりして、二人いっしょに声えを立てました。
「まあまあ、わたしたちが、へいぜい、どうかして子供が一人ほしい、ほしいと言っていたものだから、きっと神さまがこの子をさずけて下ったにちがいない。」
 おじいさんも、おばあさんも、うれしがって、こう言いました。
 そこであわてておじいさんがお湯をわかすやら、おばあさんがむつきをそろえるやら、大さわぎをして、赤さんを抱き上げて、うぶ湯をつかわせました。するといきなり、
「うん。」
 と言いいながら、赤さんは抱いているおばあさんの手をはねのけました。
「おやおや、何という元気のいい子だろう。」
 おじいさんとおばあさんは、こう言って顔を見合わせながら、「あッは、あッは。」とおもしろそうに笑いました。
 そして桃の中から生れた子だというので、この子に桃太郎という名なをつけました。


 おじいさんとおばあさんは、それはそれはだいじにして桃太郎を育てました。桃太郎はだんだん成長するにつれて、あたりまえの子供にくらべては、ずっと体も大きいし、力がばかに強くって、すもうをとっても近所の村じゅうで、かなうものは一人ひとりもないくらいでしたが、そのくせ気だてはごくやさしくって、おじいさんとおばあさんによく孝行をしました。
 桃太郎は十五になりました。
 もうそのじぶんには、日本の国中で、桃太郎ほど強いものはないようになりました。桃太郎はどこか外国へ出かけて、腕いっぱい、力だめしをしてみたくなりました。
 するとそのころ、ほうぼう外国の島々をめぐって帰って来た人があって、いろいろめずらしい、ふしぎなお話しをした末に、
「もう何年も何年も船をこいで行くと、遠い遠い海のはてに、鬼が島という所がある。悪い鬼どもが、いかめしいくろがねのお城の中に住んで、ほうぼうの国からかすめ取った貴い宝物を守っている。」
 と言いました。
 桃太郎はこの話しをきくと、その鬼が島へ行ってみたくって、もう居ても立ってもいられなくなりました。そこでうちへ帰るとさっそく、おじいさんの前へ出て、
「どうぞ、わたくしにしばらくおひまを下さい。」
 と言いました。
 おじいさんはびっくりして、
「お前どこへ行くのだ。」
 と聞きました。
「鬼が島へ鬼せいばつに行こうと思います。」
 と桃太郎はこたえました。
「ほう、それはいさましいことだ。じゃあ行っておいで。」
 とおじいさんは言いました。
「まあ、そんな遠方へ行くのでは、さぞおなかがおすきだろう。よしよし、おべんとうをこしらえて上あげましょう。」
 とおばあさんも言いました。
 そこで、おじいさんとおばあさんは、お庭のまん中に、えんやら、えんやら、大きな臼を持ち出だして、おじいさんがきねを取ると、おばあさんはこねどりをして、
「ぺんたらこっこ、ぺんたらこっこ。ぺんたらこっこ、ぺんたらこっこ。」
 と、おべんとうのきびだんごをつきはじめました。
 きびだんごがうまそうにでき上あがると、桃太郎のしたくもすっかりでき上りました。
 桃太郎はお侍の着るような陣羽織を着て、刀を腰にさして、きびだんごの袋をぶら下げました。そして桃の絵のかいてある軍扇を手に持って、
「ではおとうさん、おかあさん、行ってまいります。」
 と言って、ていねいに頭を下げました。
「じゃあ、りっぱに鬼を退治してくるがいい。」
 とおじいさんは言いました。
「気をつけて、けがをしないようにおしよ。」
 とおばあさんも言いました。
「なに、大丈夫です、日本一のきびだんごを持っているから。」と桃太郎は言って、
「では、ごきげんよう。」
 と元気な声をのこして、出ていきました。おじいさんとおばあさんは、門の外に立って、いつまでも、いつまでも見送っていました。


 桃太郎はずんずん行きますと、大きな山の上に来ました。すると、草むらの中から、「ワン、ワン。」と声をかけながら、犬が一ぴきかけて来ました。
 桃太郎がふり返えると、犬はていねいに、おじぎをして、
「桃太郎さん、桃太郎さん、どちらへおいでになります。」
 とたずねました。
「鬼が島へ、鬼せいばつに行くのだ。」
「お腰に下げたものは、何でございます。」
「日本一のきびだんごさ。」
「一つ下さい、お供しましょう。」
「よし、よし、やるから、ついて来い。」
 犬はきびだんごを一つもらって、桃太郎のあとから、ついて行きました。
 山を下りてしばらく行くと、こんどは森の中にはいりました。すると木の上から、「キャッ、キャッ。」とさけびながら、猿が一ぴき、かけ下りて来ました。
 桃太郎がふり返えると、猿はていねいに、おじぎをして、
「桃太郎さん、桃太郎さん、どちらへおいでになります。」
 とたずねました。
「鬼が島へ鬼せいばつに行くのだ。」
「お腰に下げたものは、何でございます。」
「日本一のきびだんごさ。」
「一つ下さい、お供しましょう。」
「よし、よし、やるから、ついて来い。」
 猿もきびだんごを一つもらって、あとからついて行きました。
 山を下て、森をぬけて、こんどはひろい野原へ出ました。すると空の上で、「ケン、ケン。」と鳴く声がして、きじが一羽とんで来ました。
 桃太郎がふり返えると、きじはていねいに、おじぎをして、
「桃太郎さん、桃太郎さん、どちらへおいでになります。」
 とたずねました。
「鬼が島へ鬼せいばつに行くのだ。」
「お腰に下げたものは、何でございます。」
「日本一のきびだんごさ。」
「一つ下さい、お供しましょう。」
「よし、よし、やるから、ついて来い。」
 きじもきびだんごを一つもらって、桃太郎のあとからついて行きました。
 犬と、猿と、きじと、これで三にんまで、いい家来ができたので、桃太郎はいよいよ勇み立たって、またずんずん進んで行きますと、やがてひろい海ばたに出ました。
 そこには、ちょうどいいぐあいに、船が一そうつないでありました。
 桃太郎と、三にんの家来は、さっそく、この船に乗り込みました。
「わたくしは、漕手になりましょう。」
 こう言いって、犬は船をこぎ出しました。
「わたくしは、かじ取りになりましょう。」
 こう言いって、猿がかじに座わりました。
「わたくしは物見をつとめましょう。」
 こう言って、きじがへさきに立ちました。
 うららかないいお天気で、まっ青さおな海の上には、波一つ立ちませんでした。稲妻が走しるようだといおうか、矢を射るようだといおうか、目のまわるような速さで船は走って行きました。ほんの一時間も走しったと思うころ、へさきに立って向うをながめていたきじが、「あれ、あれ、島が。」とさけびながら、ぱたぱたと高い羽音をさせて、空にとび上がったと思おもうと、スウッとまっすぐに風を切って、飛んでいきました。
 桃太郎もすぐきじの立ったあとから向うを見ますと、なるほど、遠い遠い海のはてに、ぼんやり雲のような薄ぐろいものが見みえました。船の進むにしたがって、雲のように見えていたものが、だんだんはっきりと島の形になって、あらわれてきました。
「ああ、見える、見える、鬼が島が見える。」
 桃太郎がこういうと、犬も、猿も、声をそろえて、「万歳、万歳。」とさけびました。
 見る見る鬼が島が近くなって、もう硬い岩で畳んだ鬼のお城が見えました。いかめしいくろがねの門の前に見はりをしている鬼の兵隊のすがたも見みえました。
そのお城のいちばん高い屋根の上に、きじがとまって、こちらを見ていました。
こうして何年も、何年もこいで行かなければならないという鬼が島へ、ほんの目をつぶっている間に来たのです。


 桃太郎は、犬と猿をしたがえて、船からひらりと陸の上にとび上がりました。
 見はりをしていた鬼の兵隊は、その見なれないすがたを見ると、びっくりして、あわてて門の中に逃げ込んで、くろがねの門を固くしめてしまいました。その時犬は門の前に立って、
「日本の桃太郎さんが、お前たちをせいばいにおいでになったのだぞ。あけろ、あけろ。」
 とどなりながら、ドン、ドン、扉をたたきました。鬼はその声を聞くと、ふるえ上がって、よけい一生懸命に、中から押えていました。
 するときじが屋根の上からとび下りてきて、門を押えている鬼どもの目をつつきまわりましたから、鬼はへいこうして逃げ出しました。その間に、猿がするすると高い岩壁をよじ登っていって、ぞうさなく門を中からあけました。
「わあッ。」とときの声を上あげて、桃太郎の主従が、いさましくお城の中に攻め込んでいきますと、鬼の大将も大ぜいの家来を引き連れて、一人一人、太い鉄の棒をふりまわしながら、「おう、おう。」とさけんで、向ってきました。
 けれども、体が大きいばっかりで、いくじのない鬼どもは、さんざんきじに目をつつかれた上に、こんどは犬に向うずねをくいつかれたといっては、痛い、痛いと逃げまわり、猿に顔を引っかかれたといっては、おいおい泣き出して、鉄の棒も何もほうり出して、降参してしまいました。
 おしまいまでがまんして、たたかっていた鬼の大将も、とうとう桃太郎に組みふせられてしまいました。桃太郎は大きな鬼の背中に、馬乗にまたがって、
「どうだ、これでも降参しないか。」
 といって、ぎゅうぎゅう、ぎゅうぎゅう、押えつけました。
 鬼の大将は、桃太郎の大力で首をしめられて、もう苦しくってたまりませんから、大つぶの涙をぼろぼろこぼしながら、
「降参します、降参します。命だけはお助け下ださい。その代わりに宝物をのこらずさし上あげます。」
 こう言って、ゆるしてもらいました。
 鬼の大将は約束のとおり、お城から、かくれみのに、かくれ笠、うちでの小こづちに如意宝珠、そのほかさんごだの、たいまいだの、るりだの、世界いちばん貴い宝物を山のように車に積んで出しました。
 桃太郎はたくさんの宝物をのこらず積んで、三にんの家来といっしょに、また船に乗りました。帰りは行きよりもまた一そう船の走しるのが速くって、間もなく日本の国に着きました。
 船が陸に着きますと、宝物をいっぱい積んだ車を、犬が先に立って引き出しました。きじが綱を引いて、猿があとを押しました。
「えんやらさ、えんやらさ。」
 三にんは重そうに、かけ声をかけかけ進んでいきました。
 うちではおじいさんと、おばあさんが、かわるがわる、
「もう桃太郎が帰えりそうなものだが。」
 と言い言い、首をのばして待っていました。そこへ桃太郎が三にんのりっぱな家来に、ぶんどりの宝物を引かせて、さもとくいらしい様子をして帰えって来ましたので、おじいさんもおばあさんも、目も鼻もなくして喜びました。
「えらいぞ、えらいぞ、それこそ日本一だ。」
 とおじいさんは言いました。
「まあ、まあ、けががなくって、何よりさ。」
 とおばあさんは言いました。
 桃太郎は、その時犬と猿ときじの方を向いてこう言いました。
「どうだ。鬼せいばつはおもしろかったなあ。」
 犬はワン、ワンとうれしそうにほえながら、前足で立ちました。
 猿はキャッ、キャッと笑いながら、白い歯をむき出だしました。
 きじはケン、ケンと鳴きながら、くるくると宙返えりをしました。
 空は青々と晴れ上あがって、お庭には桜の花が咲き乱れていました。

 

 

그냥 동화같은 느낌. 모모타로의 행위에 정당성을 부여하기 위해 오니들이 나라에서 빼앗은 재물들을 가지고 있는 것으로 묘사하였는데, 전형적인 권선징악 모티프의 동화이다. 


 

아무튼 오랜만에 많고 좋은 리딩이었다

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